仕事などで大量のPDFファイルを扱う時、文書のプロパティで全てのファイルを同じ開き方で統一したい場合があります。
例えばひとつのフォルダの中に大量のPDFファイルがあり、これらのファイルに対して以下のようなことをしたいとき、です。
- 全てのPDFファイルを「しおりパネルとページ」で表示したい
- 全てのPDFファイルを「単一ページ」で開きたい
- 全てのPDFファイルの倍率を「全体表示」で開きたい
- 全てのPDFファイルを「フルスクリーンモード」で開きたい
などなど。このような場合、通常では1つ1つファイルを開いて、「文書のプロパティ」→「開き方」タブで表示やページレイアウト、ウィンドウオプションなどを設定して「保存」を繰り返すことになります。
ファイル数が数個であれば1つ1つ開いてもそれほど苦ではないと思いますが、数十から数百単位になるといちいち設定するのがとても大変になります。結局、面倒になって大切なファイルのみ設定して、その他はデフォルト設定で放置、なんてこともある話です。
アクションウィザードという機能
Adobe Acrobat Pro限定の機能ですが、バージョンX以降のAcrobatでは、文書のプロパティを一括で設定できるアクションウィザードというものが追加されています。アクションウィザードは日常的によく使う複数の作業を自動化する機能です。今回はアクションウィザードを使用してPDF文書の開き方を一括で変換してみようと思います。
※Acrobat 9以前ではバッチ機能により同様の処理ができるようです。
複数あるPDFファイルの文書のプロパティを一括で設定する方法
アクションウィザードの設定方法はいろいろとあるのですが、個人的に利用していて便利だなと思える方法をご紹介します。
目次
固定フォルダを作成
まずは変換作業専用のフォルダを固定で作ってしまいます。作る場所やフォルダ名などは自分がわかるようにに作ってください。
今回は例としてデスクトップ上に「PDF_しおり付」というフォルダを作成しました。このフォルダの目的はPDFファイルを開いた時の表示を全て「しおりパネルとページ」にする、というものです。単純ですけど個人的にはかなり頻繁に設定する項目です。
一括設定したいPDFファイルを全てこのフォルダの中へ入れます。今回は例として5つのファイルを用意しました。
アクションウィザードの設定
Adobe Acrobat Proを開いて「ファイル」→「アクションウィザード」→「新規アクションを作成」をクリックします。
新規アクションを作成ウィンドウが表示されます。
右側にある「開始」となっている部分は初期では「Acrobatで開いているファイル」となっています。これは一括設定したい対象をさしているので、ここを「コンピューター上のフォルダー」に変更し、先ほど作成した固定フォルダを指定します。
左メニューの「文書処理」内にある「開き方の設定」をクリックすると右側のステップ欄に開き方の設定というメニューが追加されます。
ステップは処理順に縦に並ぶようにできていて、他に別の処理をしたい場合はどんどん下に追加できるようになっています。今回は開き方の設定だけを組み込みます。
右側の「開き方の設定」内にある「オプション」をクリックします。
「開き方の設定」ウィンドウ内で初期表示の設定、開き方の設定などを変更します。今回は初期表示「しおりとページ」、ページレイアウト「単一ページ」、開き方のチェック外し「倍率」を「全体表示」に設定しました。
「OK」をクリックして開き方の設定ウィンドウを閉じます。新規アクションを作成ウィンドウに戻ります。
右側にある「保存先」を「開始時に選択したのと同じフォルダー」に変更します。「既存ファイルを上書き」にチェックを付けることで、固定フォルダへと自動的に上書きされるようになります。
「保存」ボタンをクリックしてアクションウィザードに自分がわかる名前を付けて保存します。
画像ではアクションの説明を入れていますが、個人で利用する場合には必要ないと思います。すぐに実行したい場合は「保存後にこのアクションを実行」にチェックを入れます。
アクションが保存されました。これでこのアクションウィザードを実行するたびに、固定フォルダ内にあるPDFファイルすべてにこの設定が自動的に一括で適用されるようになります。
アクションウィザードを使ってみる
先ほど保存したアクションを実際に使ってみます。デスクトップ上の「PDF_しおり付」フォルダ内には、すでに冒頭で一括設定したいPDFファイルを入れてあります。
Adobe Acrobat Proを立ち上げます。PDFファイルをAcrobat Proのプログラムで開くように設定してある場合には、何か適当なPDFファイルをダミーで開いても同様の操作ができます。
「ファイル」→「アクションウィザード」より先ほど名前を付けて保存したアクションを選択します。
アクションウィンドウが立ち上がります。下部にある「このアクションには、以後表示しない」にチェックを入れておきます。次回実行時からはこのウィンドウも立ち上がらずに、設定した処理が自動で一括処理されるようになります。
処理が終わりました。読み込むフォルダ、保存するフォルダ、ともに予め指定済みなので全て自動処理で完了します。
今回はフォルダを固定していますが、フォルダを指定しないで任意のファイルをその都度ごとに指定することもできます。この辺はご自分の使用用途や環境にあわせて設定してみてください。
実際にファイルを開いてみて、設定した通りの開き方をしていたら成功です。お疲れ様でした。
※今回作成した固定フォルダは消さずに専用フォルダとして残しておきます。今後、同様の設定をしたいPDFファイルが出てきた時に、どんどんこのフォルダへとファイルを突っ込んでいき、一括で自動処理させます。
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