キーボードを打つときにほんの少しだけ無駄を省くだけで、見違えるほど速く打てるようになったりします。これがキーボードの最適化です。
個人差はありますが、ブラインドタッチが出来るようになって、そこそこ速く打てるようになってきた人が次に考えるのは、この最適化をおいて他には無いと思うのです。
今回はenthumbleというキーがカスタマイズできるフリーソフトを使って、キーボードを最適化する方法をご紹介します。これは僕が実際に自分で設定して使用しているものであり、慣れてしまった今となってはなくてはならないものです。
キーボードを最適化する
まずは以下のソフトをダウンロードします。シェアウェアですが、無料でも使えます。
キーボードを、もっと便利にenthumble for windows
enthumble (アンサンブル) はほとんど使わないスペース左横による「無変換キー」をFNキー(ファンクションキー)に置き換えることで、キーボードに通常とは違った働きを加えるためのソフトです。初期設定の他に、自分で独自にキーを割り当てることができるので大変便利です。
プログラムはレジストリも汚さないし、動作も軽くUSBで持ち運びやコピーも可能なため、自分が使用する全てのPC環境に導入することができます。
最適化の考え方
それぞれに考え方があるとは思いますが、最適化を考える上で個人的には以下の点がもっとも重要なポイントだと思います。
ホームポジション周辺で指の移動は最小限でほとんどの動作が可能なこと
もうこれに尽きます。「ホームポジションから手を動かさずにほとんどの事が出来てしまうこと」が最適化された状態、と言えます。
※ホームポジションとは
キーボードを見ずにキー入力を行うタッチタイピング(ブラインドタッチ)を行う際に一般的に8本の指を置く位置のことです。大抵のキーボードのFキーとJキーには、ホームポジションの目印として指で触るだけでわかるようにキーに小さな突起がついています。ここに両人差し指を乗せます。
以下は、ホームポジションから無理なく指が届く範囲を大雑把に表した図です。青丸が左手の範囲、緑丸が右手の範囲を表しています。
この青枠内、緑枠内に自分が必要としているキーが全て含まれている状態が、「個人的に最適化された状態」だと考えます。きちんと最適化すれば、この範囲だけでほぼ全ての作業が可能になります。
最適化するキー
今回は使用頻度の高い以下のキーについて最適化します。あくまでも僕個人が最低限必要としている最適化です。他に必要なキーがあればどんどん自分なりにカスタマイズしていけば良いと思います。
- ESC(エスケープキー)
- BS(バックスペースキー)
- Delete(デリートキー)
- Enter(エンターキー)
- ←↑→↓(カーソルキー)
- Home(ホームキー)
- End(エンドキー)
ESC(エスケープキー)
困った時はとりあえずエスケープしとけ。Windowsを使い始めの頃はそう教えられました。使用するプログラムによってはそれなりに使うキーなので近くにおいておきたいキーです。
BS(バックスペースキー)
文章を消す時に使います。Windowsの場合にはカーソルの手前にある文字を削除する働きをします。日常での使用頻度も高いキーです。ブラウザ上では「戻る」ボタンの代わりにもなります。
DEL(デリートキー)
カーソル直後にある文字を削除する働きをします。他にも何かを消したい時には真っ先にこのキーが使われます。バックスペースキー同様にこちらも日常的に多用するキーですね。
Enter(エンターキー)
改行、決定などに使用します。キーボードの中で最も使用するキーの一つです。ちなみに、エンターキーを「ダンッ!ダンッ!」と叩き殴って入力する人がいますが、そういう人きらい。キーボードはリズムよく淡々とタンタンタンッと打ちたいものです。
カーソルキー(矢印)
主にカーソルの移動に使います。文章入力やプログラミングの際にはかなり使うキーの割には、昔からとても遠くに配置されているキーです。なぜカーソルキーがあんなに遠くに配置されているのに誰も不満を言わないのか僕はとても不思議なのです。個人的にはカーソルキーはもう少し近くにあってもいい派です。
HOMEキー
これはMacBookProを使っている時によく利用するキーをWindowsでも同様に使えないか、と考えて取り入れたキーです。MacOSではCTRL+Aでカーソルが行頭に移動できます。これをWindowsで表現するとHOMEキーになります。
ENDキー
これもHOMEキー同様にMacOSとWindowsの操作を比較的同じにしたいという欲求からきてます。MacOSではCTRL+Eキーでカーソルが行末へ移動になります。
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最適化後
最適化前後を見比べてみてください。自分の指の可動域の最小限の範囲で遠くのキーを操作することが可能になっているのがわかると思います。ここまでくれば後は根気よく慣れていくだけ、です。
実際にはこのまま最適化したキーを押しても何もなりませんが、アンサンブルを起動させた状態だと無変換キーがFN(ファンクションキー)として自動で置き変わるので、無変換キーを押しながら上記キーを押す事で、置き換えキーとしての役割を果たせます。
ちなみに、今回のカーソルキーとEnterキー、ESCキーの設定はアンサンブルを起動後にlayout設定より「IJKL」モードにすることによって自動的に設定されます。
その他のキーの設定方法ですが、いちどアンサンブルを起動するとアンサンブルの実行ファイルなどがあるフォルダ内にKeyListというフォルダが自動で出来るので、その中にあるIJKL.ini(IJKLモードの場合)というファイルをメモ帳などのテキストエディタで開いて赤枠のように変更します。
他にも任意の部分を変更することで自由なカスタマイズが可能となってます。自分好みの設定を試してみてください。
カスタマイズしてみて
とにかく慣れろ。話はそこからだ。
最初は全く馴染めませんでした。もう恐ろしいほどに。これまでスムーズに入力していたキー操作がなんだかバラバラになってしまったような感じで、さすがにイライラしました。しかし、このまま我慢して使っていると、ある瞬間から意識しないで自然と指が動くようになってきます。これは不思議な感覚です。
実はこの最適化をしてからすでに1年以上経っているのですが、今ではまるで脊髄反射のごとくこのキーボードを扱えます。体(指)が勝手に反応するような感じです。無意識に指が動くようになれば以前よりも劇的に速い入力が可能になります。逆に最適化していない普通のキーボードを使うと戸惑うくらいです。
特に自分で設定したBSキーとDELキーの使い勝手は自分で言うのもアレなんですけど秀逸です。HOMEキーやENDキーなどもいい具合に入力を補助してくれます。かなりPCの使用感が変わり、今では自分が使用する全てのPCに同じ設定のアンサンブルが入っています。