3Dプリンターで車の鍵カバーを自作する

まずはこの写真を見てください。

車の鍵

これ僕の車の鍵なんですけど、なんと電池がむき出しになっています。 ここには黒いカバーがついていたんですけど、数年前からカバーのネジの部分に亀裂が入っていたんですよね。

それでだましだまし使っていたんですけど、先日ついにこれが割れたらしくて、気がついたら写真の状態になっていました。

この状態でポケットに入れておくと、電池ユニットごとボロリと取れそうになります。カバーがないととても困ります。

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鍵の丸ごと交換が必要

「鍵のカバーだけ購入できないかしら」

近所のディーラーに話を聞きに行ったんですけど、カバー単体での販売はしていないとのことでした。カバーが欲しければ、鍵ユニット全てごと丸ごと交換が必要、らしいです。

「こんなカバーなんてせいぜい1,000円くらいじゃね?」

なんて簡単に考えていたんですけど、フタを開けてみれば1.5万ほどの出費だそうです。

そうだ。3Dプリンターで自作しよう

無くなってしまったものは作ってまえ。

ということで、3Dプリンターで鍵のカバーを自作してみることにしました。3Dプリンター制作に関して必要なものはそれほど多くはない。モノづくりにかける情熱とCADを動かすパソコン、そして3Dプリンターだけです。

X-Smart 僕も使っているコスパ最強3Dプリンター

自分で言うのもなんですけど、X-Smartは値段の割に高性能で、3Dプリンターの入門機としては十分すぎる性能をもっています。

壊れやすいというレビューもありますが、僕が使っているX-Smartはまだ一度も壊れていません。一度プラットフォームシートが破れましたが、Amazonレビューを書いたら、プラットフォームシート2枚と予備ノズルをタダで送ってくれます。

タダで貰ったプラットフォームシート
タダで貰ったプラットフォームシート

まずは作りたいものの絵を描きます

手書き設計図
手書き設計図

モノづくりには準備が必要です。

いきなり3DCAD立ち上げてもよほどのセンスでもない限り、サクサクとはできません。まずは鍵の寸法を計測し、紙にざっくりとした絵を描きながら作りたいもののイメージを膨らませます。

設計図を描くことで気がつくことがある

僕は3Dプリンターで何かを制作するときには必ず毎回こうした簡易設計図のようなものを描くようにしています。

実際に絵に落としこんでみることで、作りたいものの物理的な矛盾に気がつくことが多いので、この絵にする行程はとても大切なのです。

手書き設計図完成
手書き設計図完成

絵と言っても寸法をあわせたり、定規で真っ直ぐに線をきっちりとひく必要は全然なくて、適当な絵でよいです。ここで重要なことは以下の2点だけです。

  • 漠然とした頭の中のイメージをを具体的なものにしていくこと
  • 正確な寸法の数値を書き込むこと

この寸法の数値はこの後のモデリング時に必要になるので、できるだけ詳細に記入しておきます。後からどう使うかはわからないけど、測れそうな部分はできるだけ正確に計測して、記録しておきます。

最初の下絵さえきっちりと作りこんであれば、8割がた完成したようなものです。

Fusion360でモデリング

ざっくりとした設計図を元に、Fusion360でモデリングします。Fusion360は個人趣味での利用の場合は無料で利用できます。

オートデスク Fusion360ダウンロード

キーのカバーは表現しにくい形状をしているため、大まかな形状については、写真データからスプラインでポチポチとなぞっていく、という手法で再現しました。

スプラインで線をなぞる
試作品1号

なぞった形状をそのまま立体化して、電池ユニット部分をくり抜いたら、試作品1号の完成です。

3Dプリンターで印刷

X-Smartで印刷
X-Smartで印刷

作成した試作品1号を印刷します。1号の目的は、大まかな形合わせと細部の確認です。

ここでは印刷物と鍵の形の確認、すり合わせてみて電池ユニット部分が接触しないか、などを確認しました。全体的な形状に微調整は必要ですが、大きな問題はなさそうです。

印刷して改良を繰り返す

印刷して、実物合わせして、微妙に改良する、という行程を繰り返します。この工程は最終的な品質に関わるので、自分が納得できるまで何度も何度もやると良いです。

左から試作品 1号、2号、3号
左から試作品 1号、2号、3号

ミニルーターとサンドペーパーで削りまくる

最終的に良い形になったので、黒いフィラメントで印刷します。

ここからは細部を整える「削り」の行程に入ります。

ハンディルーターで削りまくる
ハンディミニルーターで削りまくる

3Dプリンターで印刷したものは、斜めの部分にサポートがつくため、どんなにキレイにサポートを剥がしても、どうしてもガタガタになります。

そこでミニルーターの出番です。

3Dプリンターでなにかを作りたいと思っている方は必須アイテムです。ミニルーターがあるのと無いのとでは、出来上がりの品質が全く違います。

ミニルーターで斜めの部分に丸みをつけていきます。ネジ周りも面取りをしながら形を整えていきます。

穴まわりの拡張
穴まわりの拡張

ミニルーターは値段によってピンきりですが、5千円~9千円くらいのもので、ある程度ビットがセットになっていて、さらに回転数が自由に調整できる以下のようなミニルーターが個人的にオススメです。

表面がザラザラだったので、400番のサンドペーパーで全体的に整えて完成です。

完成

完成したが、積層痕がどうしても目立つ
完成したが、積層痕がどうしても目立つ

なんとか完成することができました。見た目はちょっとアレですけど、手触りは良いです。形もピッタリとハマります。

積層痕がどうしても目立つので、最後はマッキーで全体的に塗りました。キレイに仕上げたければプラモ用の塗装が良いかもしれませんが、まあ自分の鍵なので、妥協しました。

鍵カバーの完成
3Dプリンターで鍵のカバーを自作してみた

3Dプリンターは不可能を可能にしてくれる夢のアイテム

自分で設計したものを自分の家で自分の思うままに形にできる。

実際、こんなに楽しいことってないですよね。一般家庭に3Dプリンターが置ける時代に生まれたことにとても感謝しています。

他にも3Dプリンターの記事書いてます。興味のある方は見てください。

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