Happy Hacking Keyboard Professional2【HHKB Pro2】を以前、家で使う用に購入しまして、その質感、打鍵感、所有欲、心が満たされる感など、非常に満足度が高かったため、すぐに会社用にも購入して使い始めました。
会社用に購入したのがHHKB Pro2の無刻印、墨モデルです。これに赤のコントロールキーをつけて使っています。
今回は無刻印モデルを使用してから3ヶ月たったということもあり、実際のところ無刻印ってどうなのか、USキーボードってどうなのか、HHKBの感想もおり交ぜつつ、つらつらと書いてみようと思います。
無刻印が気になって気になってもう辛抱たまらない、なんて方にはこの記事を購入の参考にしていただければ幸いです。
Happy Hacking Keyboard Pro2無刻印墨モデル
環境の変化による戸惑い、不安、なんかが当初あったんですけど、使用してみると実はそれほど弊害もなく、今になって思うのは、思い切って飛び込んでみてよかったなぁということです。
見た目がすごく上質で美しい
墨モデルに赤のコントロールキー、という組み合わせはこれ以上らいくらいに色のバランスがよく、3ヶ月以上たった今でも毎朝見るたびに、あまりのカッコよさにため息が出てしまうほどです。見飽きない。
別にコントロールキーを赤にしないと操作できないわけじゃないんです。結局のところ、キーボードを見て操作するわけじゃないので、この赤のコントロールキーは単なる自己満足な飾りでしかない。実用性なんてものはほとんどありません。
「かっこいい」から使いたくなる
それでもこのコントロールキーに僕が拘るのは、単純に「かっこいい」から。無刻印という一見無機質な冷たい感じの中に、墨のやわらかさ、そして赤がアクセントカラーとなっていて、全体的にまとまっていて、とにかく美しい、エレガント、オシャレなんです。
HHKBのカラーキートップセットには青いESC(エスケープキー)も付いているんですけど、これまで付けてしまうと途端にガチャガチャした感じになってしまって安っぽくなってしまいます。もちろんこれは僕の個人的な主観ですので、あしからず。
記号が覚えられない
実は3ヶ月前まではJIS配列のMajestouchというキーボード使ってました。今回、HHKB Pro2にして初めてUSキーボードに変えたわけです。JIS配列とは記号の位置が微妙に違ったり、四則計算記号の位置がわからずに時々戸惑います。特に「=」と「+」が同じキーなのにまだ慣れてません。
キーボードの配列のカンペ用意してる
覚えられないのは、ごくごくたま〜にしか使わないといった類の記号です。こればかりは仕方ないので、キーボードの配列図をコピーしたものを机の中に忍ばせています。つまりはカンペです。
もはや何のための無刻印なのか、本末転倒な感じではあるんですけど、今のところ、こうして騙し騙し使っているうちに徐々に奇妙に頭に入れていくしかないと思っています。
修行だと思ってテンションを上げる
「キーボード配列を全部頭に入れるために、無刻印という荒業をしているのだ」と無理やり思い込むことでテンションを上げます。筋トレのごとく日常的に自分に負荷をかけることで強制的な成長を促します。
自分を追い込むことで力がつくことはこれまでの経験上わかっています。難しい仕事をやり遂げたあとに自分がスキルアップして自信がつくのと同じような感覚です。
数字やF11、F12の位置がイマイチ覚えられない
上段の数字キーは指先の感覚では覚えています。ホームポジションに指を置いていたら難なく数字は押せるんですけど、ホームポジションから手を離している時が問題です。
「8」だけポンッと押したい、なんて時に「8」、「9」キーあたりで迷いまして、押してみたら大抵「9」だったりします。数字キーの刻印だけはあったほうが良いなぁという場面もありました。その辺の感覚もそのうち慣れていくしかないと思います。
ファンクションキーも迷う時がある
例えば、エクセルのVBEなんかを立ち上げる時に、「ALT+F11」を押すわけなんですけど、「ALT」押しながら「Fn」を押して、さらに「11」の場所を探さなければならないのです。刻印があるとなんてことない動作なんですけどね。地味に不便です。
ホームポジションから離れたら迷子
例えば、僕は仕事でCADを使うんですけど、CAD上で線を引く時、LINE(線)の頭文字で「L」キーをキーボード割り当てしています。右手でマウスで操作していて、左手でLキーを押すなんてときに「L」の位置が瞬時に判断できません。
ホームポジションに指を置いたとたんにわかる
多くの人がそうであるようにキーボードを覚えているのって、ホームポジションからのオフセットを体が(指が)覚えているだけ、なんです。この指をこっちに動かしてこの辺がコレだな、みたいな脳内の感覚の積み重ねを体が覚えているだけなんです。大抵の人は本当の意味でのキーの位置を記憶してはいない。
無刻印にして特に感じたのはまさにこのことで、単体でキーを押す時に思うように押せないってことなんです。これは衝撃でした。無刻印の衝撃。ホームポジションに両手を置いていればキーボードを見なくても押せるんですけど、ホームポジションを崩した途端にわからなくなる。
US配列は慣れの問題
US配列について、ローマ字入力の方ならほとんど戸惑うことなく入力できると思います。配列の違いは毎日使っていると自然と慣れていきます。
かな入力の場合は切ない場面がある
僕はかな入力なので、これまで使っていたJIS配列のキーボードと入力の違いに戸惑いました。おそらく多くのかな入力使いの方がHHKBに変えて、最初に戸惑うのは「む」と「ろ」の位置と「ー」だと思います。
HHKBだからなのか、US配列がもともとこうなのかはわかりません。とにかくHHKBでかな入力する場合、「む」は右上から2番目、「ろ」は一番右上、「ー」にいたっては、Shift+「ほ」 を押さなければならないのです。
これには当初かなり泣かされました。ちなみに「キーボード」って単語打つときには「き」押して「Shift+ほ」押して「ほ+゛」押して「Shift+ほ」押して「と+゛」と打たなければならず、非常に複雑な打ち方を要求されます。
Fnキーは左手小指の付け根で押す
基本的にはAutohotkeyでキーをカスタマイズして使ってるんですけど、場合によってはAutohotkeyが使えなかったり、カスタマイズしていないPrintScreenなどのキーを使いたい時があります。
※(PrintScreenはFn + I)
僕のキーのカスタマイズについては以下の記事で紹介しています。
キーボードの入力スピードを飛躍的に向上させる入力テクニック
どうしたってFnキーを使う場面は出てくる
HHKBはデフォルトではFnキーが一番右下にあります。これが微妙に使いにくい。そこで背面のディップスイッチの4番と5番をオンにして、左下ALTの位置にFnキーを持ってきます。これでFnキーを左手小指の付け根あたりで押すのです。これが慣れると意外とイケるんです。新しい感覚です。
このキーボード特有の特殊な操作というものに慣れていくしかないです。3ヶ月たった今、ようやくこの扱いに慣れてきました。これからもっと成熟して自然と、頭で考えることなく手が動くようになるまではもう少し時間がかかるかもしれません。
まとめ 好きだから許せる
結局、無刻印が好きなのか、嫌いなのか、なんです。すべてここに集約されます。恋愛と一緒で、いったん好きになったら嫌いな部分(不便な部分)もすべて含めて好きになれるんです。
これまで書いてきたとおり、不便な部分が恐ろしく多々あります。ホームポジションにいない時に、パッとキーを特定できないとか、ALTキーとファンクションキーを押すときに一瞬考えないと押せないところとか、日常で使ってみると無刻印は不便です。
刻印があればキー配列に気を配らなくてもいいのでストレスがありませんが、無刻印だと、キー配列の感じやら、端っこから何個目?なんてことを一瞬考えてキーを特定する時間が必要になるのでストレスになります。
HHKBの無刻印キーボードを調べている時に、無刻印キーボード購入して後悔したといった趣旨のブログ記事も読ませていただきました。下にリンクしておきます。今ならとってもよくわかりますよその気持ち。それでも僕は総合的な意見として「購入して良かった」と思っています。
調子にのってHappy Hacking Keyboardの無刻印を買ったけど後悔した話
かなり深い部分でキーボードを知れる
刻印があれば、「この位置にこのキーがあるから、となりはコレ」みたいな意識をしないんです。なんの苦労もしない。でも無刻印だと単体でキーを押す時に、キーの特定に少しばかり意識をさかれる。
これは無刻印を使ってみて初めて実感したことで、よくよく考えるとわかりますが、恥ずかしながら購入前には想像もしていなかったことです。これからHHKBの無刻印を購入する方はその辺を考えてみてください。
どうしても不便すぎてもうダメ、という方には4千円とちょっとくらいで刻印入りのキートップも売ってますからね。必要な部分だけキートップを刻印入りに入れ替えて使ってもいいと思います。白と墨で入れ替えてオリジナル感を出して使うのもいいかもしれません。
まあ色々書きましたが、慣れてくると不思議なもので、別な触覚が働いてキーの位置がわかってくるんです。野性的な感覚に近いものがあるかもしれません。よく使うキーに関しては3ヶ月たった今では無意識に位置を特定しています。キーボードは使えば使うほどに手に馴染んできますから、おそらく1年も使えばほとんどのキー配列が頭に入ると思います。
すべてのキーをホームポジションからではなく、指一本で何も考えずに感覚のみで押せたら、本当の意味でのキーボードを知るという領域に近づくのかもしれません。このキーボードはそういった意味ではむかしのトヨタAE86のように、「不便であるがゆえに、逆に人を育ててくれるキーボード」なのかもしれません。
HHKB Professional HYBRID Type-S発売。さぁHHKBを語ろうか
所有する喜び、超高級キーボードの世界
HHKB歴1年の僕がワイヤレス版発売について思うこと
キーボードの入力スピードを飛躍的に向上させる入力テクニック
HHKB キートップの分解と大掃除
大変興味深く記事を読ませて頂きました。
一つ質問があるのですが、拝見するに方向キーを配置していないモデルをご利用のようですが、方向キーが必要となる場面ではどのような操作で代用されているのでしょうか?それとも必要とされないのでしょうか?
教えて頂けると嬉しく思います。